2017年3月4日土曜日

Liar - Queen 和訳

Liar - Queen 和訳


「ライアー」は1973年のファーストアルバム「戦慄の王女」から。
和訳の前に、宗教的な背景をちょっとだけ分かっていると、理解しやすいです。

海外といいますか、少なくとも「ライアー」の中では、(日本では考えにくいですが)宗教は人生そのものと言って過言ではありません。

細かく言うとキリがありませんが、大体は「神=善」。
神がすることはなんでも正しい。

それに対して「悪魔=悪」です。
人は悪魔にそそのかされて、悪いことをするのです。

”悪魔の誘惑に負けず、神の教えに従って正しく生きましょう”
ざっとこんな感じ。

「Liar 嘘つき」は、人が正しく生きようとしているのに、嘘で人を悪い道へ引きずり込む、悪魔の様な人のことを指します。

「お前は悪魔の様に嘘をつく。嘘つきの死後は地獄行きだ」という意味になります。
日本的に言うなら「恥さらし」くらい強い意味合いです。


ようやく和訳です。

清く正しく生きようとする建前の自分と、もう一人の内なる自分の本音に、葛藤をしている様だと解釈しました。

フレディの一人二役が見事です。


▼オフィシャルPVって、暗いし荒いしタテヨコ比率がおかしい?
グレイテスト ヒッツ1のディスク2に入っているのと全然違います。




"Liar" ライアー 和訳


I have sinned dear Father Father I have sinned
父なる神よ。我が親愛なる父。
私めの懺悔の言葉が届いておられますか。
私は罪を犯したのです。あなたの教えに背いてしまいました。

Try and help me Father
この身に贖罪の機会をお与えください。

Won't you let me in?
どうか、赦しの手を差し伸べていただけますか?

 [Liar]
『嘘つき!』
どこからか僕を非難する声が響き渡る。

Oh,Nobody believes me 
どうして?誰も僕を信じないというの?

[Liar]
『背徳者!』

罵声を浴びせられる。
「声」は、四六時中追いかけてくる。

Why don't they leave me alone?
どうして僕を放っておいてくれないの?


Sire I have stolen stolen many times
天地創造の主よ、聞いてください。
確かに私は正しい行いだけではありません。
私は盗みを働きました。何度も盗みを働いたのです。

Raised my voice in anger
怒りのあまり、声を荒げたこともあります。

When I know I never should
やってはいけないと分かっていて、やってしまいました。
深く悔い改めます。

[Liar] 
『偽善者!』
声がまた追い討ちをかけてくる。

Oh ev'rybody deceives me
ああ、僕は何を信じたらいいんだろう。

[Liar] 
『悪魔憑き!』

why don't you leave me alone?
僕はどうすれば自由になれるの?


Liar I have sailed the seas
- 『欺瞞』
七つの海を越えたところで

Liar from Mars to Mercury
- 『地獄へ落ちろ』
宇宙へ逃れ、火星から水星へ抜けても無駄なんだろう。

Liar I have drunk the wine
- 『嘘偽りだ』
ワインを飲んでも。

Liar time after time
- 『騙りめ』
「声」は、無限に僕を苛ます。


Liar you're lying to me
「なあ、嘘つき。俺はもう一人のお前だ。
お前は自分に嘘をついて本来の姿を偽っている。
俺は生きている限り付きまとうからな。」

Liar you're lying to me
「また嘘をついたな。自分の良心に背くのか。
お前はお前自身から逃れることは絶対出来ない。」

Father please forgive me
主よ、父よ、慈悲を。どうかお許しください。
僕にはもう耐えられません。

You know you'll never leave me
ずっと見ておられるのでしょう?
森羅万象をご存知のはずです。

Please will you direct me in the right way
お願いです、迷い子を正しき道へとお導きください。


Liar liar liar liar
『詐欺師』『不道徳』『食わせ者』『悪党』

「声」が八方から響く。
僕の魂は、生きながら救われないのだろうか。

Liar that's what they keep calling me
『嘘つき』
僕はいつも嘘つき呼ばわりだ。

Liar liar liar
『面汚し』『穢れた魂』『ペテン師』


um,let me go
もう僕を解放して。


Listen!
聞いて!

are you gonna listen?
内なる「声」が、もう一人の自分か、悪魔かは知らないが
僕の声も聞くべきだろ?

僕は惑わされない。今のまま生きるんだ。

Mama I'm gonna be your slave
僕を信じ、愛してくれるお母さん。
あなたの期待通りの僕でいます。

All day long
一日中ずっと。

Mama I'm gonna try behave
僕を正しく育ててくれたお母さん。
あなたの教えを守り、清い行いに励みます。

All day long
日々毎日。

Mama gonna be your slave
お母さんの全て言う通りに従い、
あなたの望む将来を歩みます。

All day long
時間の限り。

I'm gonna serve you till your dying day
お母さんが生きているうちは、
僕は裏切ることなんてできません。

All day long
来る日も、来る日も。

I'm gonna keep you till you dying day
お母さんが天に召されるその日まで。
僕は最期まで、あなたの知る息子でいたいんです。

All day long
一生でも。

I'm gonna kneel down by your side and pray
傍にひざまずき、深く祈りを捧げます。
僕は道を間違えるわけにはいかない。

All day long 
一生涯。

and pray
祈りを。

All day long 
永遠に。

and pray
僕はずっと祈っている。

All day long 
ずっと。

all day long 
一日中。

all day long
怠った日はないのに。

All day long 
all day long 
all day long

ぐるぐる頭の中を駆け巡る。
これは神の試練か、悪魔のささやきか。

葛藤する。

何が正しいのだろう。
主よ、僕の行いは間違っているのですか。


All day long all day long all day long
一日たりとも祈らなかった日はない。
縋りつき、神に祈り、僕が何をしたというの。


「声」が響き渡る。

Liar liar they never let you win
「おい嘘つき、言いたいことはそれだけか?
何をどうしたところで、お前が報われることなんて無いんだよ。」

Liar liar everything you do is sin
「自分を誤魔化し、嘘で塗り固めたその人生は
やること成すこと、神に背くことになるんだ。」

Liar nobody believes you
「嘘つき野郎の言うことなんて、誰も信じねえよ。」

Liar they bring you down before you begin
「生まれながらの大ぼら吹き。
何を始めようにも、恩は仇で返って来るのさ。」

Now let me tell you this
「これだけは言っておく。」

Now you know you could be dead before they let you...
「いつでも自分で死ぬことができるんだぜ。
誰かにやられる前にさ。分かってんだろ...」



以上です。


神の教えに従えば、親を敬い正しく生きる。
ただし、嘘はいけない。
自分を欺いて生きている以上、神に背くことになる。

片や自分の本心のしたがって、親を裏切れば、それも不道徳となる。
結局、神に背くことになります。

どのみち地獄行き。
ひどい人生です。
「神」にどれほど救いを求めたことでしょう。

そしてこの後、「Bohemian Rhapsody ボヘミアン・ラプソディ」に続くと思うのは、ねこあるきだけではないと思います。


初期フレディーが大好きなねこあるきは、オフィシャルPVにイラついたので、そのうち動画を作ります。権利に引っかからなければアップします。


:追記 引っかからなかったのでアップしました。
BBCで撮影された、2つの動画を組みあわせました。

「なんでここでフレディーが映ってないんだよ!」と思った場面を編集しています。

▼ライアー。勝手に完全版。和訳字幕も付けました。






おまけ

動画を作るにあたって、2つのBBC版を組み合わせたわけですが、元になった動画を載せておきます。


▼こちらが本来の「ライアー」PVです。
オフィシャルのPVに納得いかなかったので、仕方なく、自分でアップしました。




▼もうひとつのBBC版は、『ライアー!』の歌詞の部分に、変わった効果が入っています。









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17 件のコメント:

  1. これまで、この曲の訳はいくつか見たことがありますが、
    この訳を読んで初めて納得できました。
    しかし、すごい曲ですね。
    動画の"Liar!"というときのフレディの表情がいいですね。
    この訳にぴったりです。

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    返信
    1. はなおのぺらさん、こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
      初期のフレディは白黒にこだわっていましたが、自分の二面性について表現していたのではないか、と(勝手に)解釈しました。
      ねこあるきは、神に祈る、怯えたフレディの表情が特に好きです。

      削除
    2. 素晴らしい和訳ありがとうございました

      削除
  2. ねこあるきさん、はじめまして。
    映画をきっかけにクイーンにハマり、彼らの軌跡を今さらながらに追っかけている者です。
    初期の曲の中で、特にLiarが好きで歌詞の意味を知りたくてここにたどり着きました。そして、ねこあるきさんの和訳に衝撃を受けずにはいられませんでした。海外の宗教的背景を踏まえて聞くと、よりいっそうこの曲に込められたら苦悩や祈りを感じる事ができますね。天使と悪魔のような二面性を持ったフレディの歌い方、そしてねこあるきさんの和訳。ますますLiarが好きになりました(^-^)

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    1. おしゃかさん。(つい、おしゃか「様」と敬称をお付けしたくなります笑)
      はじめまして、ねこあるきです。

      ライアーに目をお付けになるとは、お目が高い。
      映画ボヘミアンラプソディーの中で、まだフレディが空港でアルバイトしている頃、手書きの歌詞がちらっと映るシーンがありましたが、あの歌詞はライアーでしたね。

      果たして宗教は救いになったのか、曲の構成が複雑なのにフレディの内面がありありと伝わってきて、私も大好きです。おしゃかさんにお気に召していただけて、嬉しく思います。
      またお気軽に遊びにいらしてください。

      削除
    2. ねこあるきさん、こんばんは。
      映画にあったあの手書きの歌詞、Liarだったんですね!どの曲の歌詞なのか凄ーく気になっていたので、ねこあるきさんのコメント見て一気にテンションが上がりましたo(^O^*=*^O^)oありがとうございます。
      ねこあるきさんのお陰で、今まで何となくでしか感じていなかったクイーンの世界観にどっぷり浸かれそうです。
      興奮気味にコメントして申し訳ありませんでした。またお邪魔させてください。

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    3. おしゃかさん、おはようございます。
      パッと見でライアーの歌詞でしたが、もし間違えていたらごめんなさい
      (-_-;)

      ねこあるきは一度直訳したものを、なるべく世界観や雰囲気を壊さないような和訳(意訳)に直しておりますので、おしゃかさんからいただいたコメントは大変光栄に存じます。

      時々、私もクイーンの世界に引き込まれて、取り乱したコメントを書きますので(!)、どうぞご遠慮なさらず、忌憚ないご意見をお願い申し上げます(^_-)*

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  3. ねこあるきさん、こんばんは。
    師走の慌ただしい中、如何お過ごしでしょうか?
    以前、ねこあるきさんが映画ボヘミアンラプソディの中で、フレディがアルバイト時代に手書きで書いていた歌詞はLiarではないか、と仰っていたので自分で確認しようと思い、瞬き厳禁で挑戦してきました。といっても一瞬過ぎて用紙のまん中部分しか確認出来ませんでしたが...。
    "Anger"と大きく書かれていたので"Raised my voice in anger"の部分でやっぱりLiarかな~と。
    このシーンの後、フレディと父親は"善き思い 善き言葉 善き行い"という教えについて口論になります。Liarの歌詞のように親の教えに背いて苦悩するフレディと、映画のフレディがリンクして、スルメのような深みがあじわえるなぁと映画の内容そっちのけでもの思いにふけるおしゃかでした(˘ω˘)

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    1. おしゃかさん、すっかり年末ですねぇ。
      此方は大掃除を諦めております(←やれよ)

      あの手書き歌詞は、フレディの直筆によく似せてありますよね。本当に一瞬だけだから、出来ればノーカットのブルーレイが出て、そのシーンを停止してゆっくり見たいです。

      映画は確かに事実と異なるところもありますが、パーティにバイシクル・レースの女の子がいたり、マレーネのポスターがあったりシーンごとに細かい演出が入っているから、ネタに気付くとじんわりと浸ってしまって何度でも楽しめます。(これでノーカットだったら永久に食えるみたいな)

      フレディもそうですが、実はブライアン・メイも学問そっちのけで音楽を志したせいで、父親と喧嘩しているんですよね。自分もメアリーさんとも付き合っていたようですし。ブライアンとロジャーは何を思ってこの演出にしたんだろうと、余計なことまで思いを馳せてしまいます。

      この映画のヒットを機に、どこかテレビ局でも公式でも、そろそろクイーンの新しい映像を出してくれないかな、と期待するねこあるきでした(笑)

      あ、ヤフーのgyaoで「ロック・レジェンズ」シリーズにクイーンがいますね。
      2019年1月17日だったか?まで見られますよ。無料で日本語字幕付きでした。

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  4. ねこあるきさん、こんばんは。
    大掃除、年末にやらねばならぬと誰が決めた?、とすっとぼけるつもりのおしゃかです。

    >パーティにバイシクル・レースの女の子がいたり、マレーネのポスターがあったり...
    ねこあるきさんも気づかれましたか!お尻パーンされてましたね(笑)こういう小ネタ大好き人間なので、ブルーレイ発売が待ち遠しいですねぇ...

    あー、やっぱりブライアンメイ氏も父親と不仲だったんですね。でも1970年代のイギリスの社会情勢を考えると堅実な人生歩んで欲しいっていう親心なのかなと思ったり。それとブライアンが最初メアリーと付き合ってたっていうのにびっくり(^^;)これで仲が悪くならないクイーンってほんと不思議なグループですね。

    ロックレジェンズの情報ありがとうございます!見ます!クイーン関連の本やらドキュメンタリーやらこぞって再販、再放送の嵐で、見たい動画はいっぱいあるしで、嬉しい悲鳴です。
    ねこあるきさんの過去記事を参考にカルチャークラブとニルヴァーナも今聞聴いていて、「Come Clean」と「Love Buzz」が衝撃的過ぎて私の意識が宇宙にすっ飛ばされたので、また折りを見て、個別にコメントさせて頂きます。

    寒さも日に日に厳しくなっておりますので、体調には十分お気をつけください。良い年越しができますように!毎度毎度の長文失礼致しました。

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    1. おしゃかさん、今年も大変お世話になりました。
      大掃除?はて、何のことでしょう。
      大体にして年末はクリスマス→かーらーの大晦日→さらに正月のコンボ→なのに仕事納めは28日とか、ハード過ぎるのがいけないんだい。

      フレディはメアリーがいても、他の女の子も連れて歩いているから、その辺は割と派手だったんじゃないかと(ロジャーもいるし)勝手に思っています。映画ではどっちかというと完全な「ゲイ」みたいに描かれていましたが、普通に女性とも付き合っているし。
      最近、YouTubeではテレビで放映したクイーン特集をアップしてくださる方がいて、この年末年始は何から観て行こうか、なんて良い時代なんだ!と快哉を叫びたいです。

      おお!カルチャークラブとニルヴァーナを聴いて下さるとは!ますますおしゃかさんとお話が出来ますな!純粋に嬉しい!
      ところで「カム・クリーン」と「ラヴ・バズ」に衝撃とはどうしました?
      宇宙へ旅行に発たれたようですが、そろそろ正月なので地球へ戻ってきて、お暇なときはコメントをお寄せください。

      いやー、おしゃかさんとお会いできて2018年は良い1年でした。
      また来年もよろしくお願い申し上げます。よいお年をお迎えください☆彡

      削除
  5. ねこあるき様
    はじめまして。こちらのブログでねこあるき様のクイーンの楽曲の意訳を知り勉強させて頂いております。また同時に私の中のクイーンの世界が拡がり深めさせて頂いておりますこと感謝申し上げます。

    最初に「Black Queen」の動画を発見した時はフレディの世界を見事にリアルに再現されていて感激しましたが、そこからこちらの意訳を伺って文学的なフレディの世界観、フレディの心の奥に蠢いていたものに触れられ多少なりとも知る事が出来るような気がしています。

    Liar がただの嘘つきではなく
    嘘つき!背徳者!偽善者!悪魔憑き!とは。。
    尚も 詐欺師!不道徳!悪党!面汚し!とまで蔑まれるなんて。。
    ここまで掘り下げられてこそフレディのボーカルで訴えている真情が伝わるんだと悟りました。
    ALL day long の繰り返しも日本語だと色んな言い回しが出来てより感情が高まるものですね。
    唸ります。
    他の楽曲も沢山拝見して大好きなクイーンの世界を深めて楽しみたいと思います。
    益々のご活躍をお祈り致します。

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  6. 毎回ねこあるきさんの美しい、作意が伝わる訳を楽しく拝見させていただいております!
    今回のLiarも素晴らしい訳でした!!私は個人的にねこあるきさんの訳が一番分かりやすいと思っています。特にSeaside rendezvous や It's late などは他のところではよくわからなかったのがとても理解できたので感動しました。ありがとうございます。
    さて、今回の訳の前にねこあるきさんが宗教の解説をしてくださいました。そこを受けて私も少し予想をたててみました。世界史の授業においてオリエント世界らへんでゾロアスター教についての勉強をしたのですが、その時に学んだ基本的な事項として、ゾロアスター教は二神教であり光明神と暗黒神、つまり善と悪とのどちらにも神が存在するとしたのです。代表的な光明神をアフラマズダ、暗黒神をアーリマンとし、常に戦っているという教えです。私はこれがLiarの歌詞の構築に似ているなぁと思いました。ゾロアスター教の教えによれば結局最後には光明神が勝利するということですが、また、つまるところ罪人も救われるようでもあります。それを踏まえて聞くとまたひと味違う味わい深さがありますね~

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  7. 昔からクイーンが好きで西武球場コンサートにいきました。最初に買ったレコードはキラークィーンでした。マーチオブブラッククイーンの最後とライアーのラスト約1分 からがとても大好きです。フレディの声の質から歌い方から全てが好きです。 これら曲を聴いている時は幸せです。

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  8. ねこあるきさんこんには
    ねこあるきさんのおかげで フレディの素敵なPVが見られ感謝しております。

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  9. 凄い内容の歌詞ですねー

    この歌詞をロックの曲に乗せるって凄い

    日本だったらアコギアレンジのフォークソングでしょうね。

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  10. ねこあるきさん おはようございます。
    ライヤー 何ていい曲なんでしょ〜
    毎日聴いても飽きない フレディー 声が素敵です

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