2017年12月17日日曜日

Don't Stop Me Now - Queen 和訳

Don't Stop Me Now - Queen "ドント・ストップ・ミー・ナウ" 和訳


有名な「ドント・ストップ・ミー・ナウ」ですが、実はリリース当初のチャートは、イギリスで9位、アメリカで86位と低め。

世に出るなり大ヒットした訳ではなくて、時間と共に有名になっていった曲です。

「大当たり、大ヒット」は、英語で「smash hit スマッシュ ヒット」と言うのに、日本語だと「スマッシュ ヒット」は「大して売れなかった、そこそこの出来」の意味で使うのですね。

「ドント・ストップ・ミー・ナウ」に関しては日・英の意味で「スマッシュ ヒット」したわけです。


アルバムは1978年「Jazz ジャズ」に、映像は「グレイテスト・ヒッツ1」に収録されています。

▼クイーンの公式で、日本語字幕付きのPVが公開されていますね。




この有名なPVは、クイーンがライブの移動中、1979年1月26日に、ベルギーで撮影されたものです。

撮影された16ミリフィルムの映像は、DVDにデジタルで収録される際、上下が大きくカットされ、変にズームアップしています。


にしても、この公式動画はちょっと見づらいです。
横のびしてしまって、せっかくの字幕付きなのに。


別に対抗するわけではないですが、元のフィルムサイズの映像を見つけたので、勝手にねこあるきの和訳を付けました。

▼本来のサイズ。ねこあるきの和訳付き。
字幕が不要でしたら、字幕表示をオフにしてください。



レッド・スペシャルが、ネックまで全体で映っています。

ピアノの上の帽子は「愛という名の欲望」で、振り向きざまに放り投げたやつでしょうか。

下手にトリミングしないで、元のサイズのままDVDに収録してほしかったです。

前置きが長くなりました。さて、和訳です。



"Don't Stop Me Now"  和訳


Tonight I'm gonna have myself a real good time
今夜
自分だけの、特別な夜を過ごすんだ

I feel alive and the world it's turning inside out Yeah!
生きてて良かった
そしていよいよ、天地がひっくり返り
足は固い地面を離れ、身体はふわりと空中へ舞い上がる

I'm floating around in ecstasy
天にも昇る想いで、恍惚の世界にゆらゆら漂う

So don't stop me now 
だから、とめないで、今は

Don't stop me
邪魔をしないで

'Cause I'm having a good time having a good time
一瞬も逃さない、極上のひとときだから


I'm a shooting star leaping through the skies
僕は流星
一直線に夜空を切り開き、炎を身にまとい、まばゆく輝く

Like a tiger defying the laws of gravity
さながら猛虎だ
唸りをあげ、重力の法則なんて軽々と超えて見せよう

I'm a racing car passing by like Lady Godiva
僕は音速のレーシングカー
目にも止まらぬ速さで、駆け抜けるレディ・ゴディバの様な

I'm gonna go go go
行け、行け
地の果てまで突き進め

There's no stopping me
僕を止めるものは何もない

I'm burning through the sky yeah!
身体が燃える様に熱くて
このまま炎を上げて、空まで真っ赤に焦がしてやろう

Two hundred degrees
華氏200度だ
雨雲なんて蒸発しちゃうよ

That's why they call me Mister Fahrenheit
この灼熱の身体が「絶対熱の男」と呼ばれるわけさ

I'm trav'ling at the speed of light
そして追随を許さない、光の速さで駆け巡る

I wanna make a supersonic man out of you
君も窮屈な体を抜け出して、超音速に変えてあげたいよ

Don't stop me now
今をとめないで

I'm having such a good time
こんな最高のひとときを

I'm having a ball
味わっている最中さ

Don't stop me now
声をかけないで

If you wanna have a good time
でも、君も楽しみたくているのなら

Just give me a call
着信だけ残しておいて

Don't stop me now 
-'cause I'm having a good time
-止めないで
だって、僕はお楽しみの真っ最中

Don't stop me now 
-yes I'm having a good time
-今は放っておいて
そう、僕は快楽の真っただ中

I don't want to stop at all... yeah!
誰にも手出しされたくないんだ


I'm a rocket ship on my way to Mars
轟音をあげて、全速力で火星を目指す
僕はロケット
重力から解き放たれ、地上は遥か彼方に

On a collision course
着陸なんていらない
速度をあげて、軍神の大地へ衝突しよう

I am a satellite I'm out of control
ときに制御不能の人工衛星
誰の手にも負えない、管制室の声なんて届かない
無重力空間を走り回る

I am a sex machine ready to reload
そして装填完了のセックスマシーン
ぎっしり弾丸は込めてあって

Like an atom bomb
臨界寸前の原子爆弾のよう

About to, oh oh oh oh oh explode
今にもほら、みるみる連鎖反応がすすんで、ああ!
一触即発で核暴走おこしそう

I'm burning through the sky Yeah!
高く燃え上がる烈火が、空を焼き尽くす

Two hundred degrees
耐えられない高熱なのさ

That's why they call me Mister Fahrenheit
だから僕が「摂氏を超えた男」と呼ばれるわけ

I'm trav'ling at the speed of light
時も空間も超え、光速度で旅をしよう

I wanna make a supersonic woman of you
その肢体を脱ぎ去って、君にも音速を超えさせたいよ


Don't stop me
Don't stop me
Don't stop me
-駄目だめ、このままにして

Hey hey hey!
もっと、もっと!

Don't stop me
Don't stop me
Ooh ooh ooh 
-止まらない、止められない

I like it !
やばいって!

Don't stop me
Don't stop me
-とめないで

Have a good time, good time
最高すぎる、突き抜ける

Don't stop me
Don't stop me
-とめないで、とまらない

Ooh ooh alright
ああ、限界まで


Ooh I'm burning through the sky yeah!
溶けて落ちるまで、空を燃やしてやろう

Two hundred degrees
焼き付く熱風が吹き荒れる

That's why they call me Mister Fahrenheit
この白熱する身体が「華氏の男」と呼ばれるわけ

I'm trav'ling at the speed of light
電光石火で
時空間を超えて旅をしよう

I wanna make a supersonic man out of you
君に少しだけでも、この心地を味わってもらえたなら


Don't stop me now
とめないで、今は

I'm having such a good time
僕は最高潮のただ中さ

I'm having a ball
言葉にならないくらい

Don't stop me now
君が僕を引き留めるのは

If you wanna have a good time
同じ体験をしたいから、って理由なら

Just give me a call
留守電でも入れといて

Don't stop me now 
僕をとめないで

'cause I'm having a good time
いま本当に良いトコだから

Don't stop me now
今はダメだよ

yes I'm having a good time
そうさ、これだけは譲れない

I don't wanna stop at all
ほんの少しも、邪魔されたくないんだ


La la la la laaaa
流星は空中で激しく摩擦して
海へ突入する

La la la la
海流に弄ばれ
やがてぽっかりと海面に浮かび上がり
波間を浮きつ沈みつしながらぼんやりと空を仰ぐ

La la laa laa laa laaa
余韻と、快い疲労感

La la laa la la la la la laaa hu....
真っ暗な夜空と、漆黒の海が彼方で溶け合い
無数の星と輝く白い月を、僕は波に揺られながら眺めている



以上です。


"La la la..."の部分は、完全にねこあるきの個人的なイメージです。
削除しようかと迷いましたが、なんとなく残しました。
ご不要の際は、脳内で削除して頂けると助かります。



ちなみに、日本語のウィキペディアによると、「ドント・ストップ・ミー・ナウ」に付けられる予定だった邦題は「僕を止めないで」のようです。

Who Needs You 恋の行方」みたいに、もっと意訳したタイトルでも良い気がします。



おまけ


グーグルが「ドント・ストップ・ミー・ナウ」の曲にのせて、フレディのアニメーションを作っています。ヒゲだけれど。
フレディが65歳の誕生日を記念して、2011年に公開。

▼"Freddie Mercury Google Doodle"
アニメ「フレディ・マーキュリー / グーグルのいたずら書き」





せっかくだから、おまけを増量します。


クイーンのメンバーによる、ファンに宛てた手書きの手紙です。
書かれたのは1975年、初めて来日した年ですね。


▼まずはフレディー・マーキュリーの手書き。



「 i 」の点の部分を「〇」にしていますね。
最近目にした、カルチャー・クラブのボーイ・ジョージのメモも、点を「〇」にしていたような。
わりと一般的な書き方なのでしょうか。



▼次はロジャー・テイラー。



右下のサインが小さくなるほど、ところ狭しと書いてありますが、きっちり丁寧です。
ロジャーだから、もっと、めちゃくちゃに書き殴るかと思っていました。



▼ブライアン・メイです。




さすが、インテリ。(いや、クイーンはみんなインテリですが)
メンバーで唯ひとりの日付入り、そして筆記体。

知性あふれる字を書くのですね。
インテリジェンスすぎて、彼がロックンローラーなのを忘れそうです。



▼ジョン・ディーコンでラストです。



学生みたいな字を書くのですね。
あ、前年までディーコンは学生だったんだ。

でも一番、字が読みやすいよ!
インクが薄いけど!

フレディーと名古屋城に行ったエピソードが書いてあります。
ねこあるきの中で、急速にディーコンの株が急上昇しました。


:追記。
この直筆手紙を和訳しました。
ご興味がある方は、こちらのページでご覧ください。

ここに載せた画像は、見やすく圧縮してあります。
もっと大きい解像度でご覧になりたい方は、ご一報ください。
ただ、かなり巨大です。






4 件のコメント:

  1. はじめまして、映画ボヘミアンラプソディーを観て、久しぶりにクイーンの曲を再び熱心に聴くようになりました。以前は雰囲気だけで楽しんでいたのですが、ふと、そういえばあまり歌詞に注意を払ったことがないと気付き、気をつけてリスニングしてみると、ずいぶんと性的な含みがあることに驚いた曲が Don't Stop Me Now でした。
    和訳はどうなっているのかと少し調べたところ、直訳調のものが多く、文法の理解としては正しくても、歌の世界にまで踏み込んでいないことに少々の不満を感じたのですが、ねこあるきさんのこの訳は「そう!」とピンとくるものでした。
    上品さを保ったまま、エロティックな歌をこれだけキャッチーな音に乗せたクイーンはすごいなあと思います。その雰囲気を、ねこあるきさんはスキャット部分の解釈で補っておられるとも感じました。
    他の訳も楽しみに拝見いたします。

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    1. suzukiさん。初めまして、コメント有難うございます。ねこあるきです。
      和訳をお気に召していただき、とても嬉しいです!

      ボヘミアンラプソディでは、最後から2番目の曲でしたね。
      ライブエイドのシーンが蘇ってくるようです。

      日本語と英語は、構成も表現も異なるので、どんな名曲も直訳調にしてしまうと、とたんに味気なくなってしまうのがもったいないと常々おもう所です。

      この曲は、軽快でノリやすいのに、suzukiさんのおっしゃる通り、エロティックな高揚と疾走感が決して下品にならないという、不思議な魅力のある曲ですよね。
      息をもつかせず昇り詰めていく様が、音にのせて伝わってくるようです。

      なるべく和訳が独りよがりにならないように、曲の成り立ちの下調べに時間を割いて、雰囲気を日本語で伝えらえるようにしておりますが、何かのご参考になれれば幸いに存じます。

      ぜひ、いつでもお気軽に遊びにいらしてください♪

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    2. お返事ありがとうございます、ボヘミアンラプソディー、もう一度観に行こうと楽しみにしています。いろいろと英語圏の批評家からは厳しい意見もあるようですが(フレディの頽廃的な性に触れず、ストーリーが陳腐という論調)、楽曲を通じて世界と繋がろうとしたフレディの孤独や、クイーンを若い世代に知ってもらうには、とてもよい仕上がりだと思っています。

      和訳の歌詞は、戦後の歌謡曲全盛時のほうが、すがすがしく意訳で「なるほど!」と思うものが多い印象です。映画のタイトル訳も同じでしょうか。
      Don't Stop Me Now は私もねこあるきさんと同じく、もっと意訳のタイトルのほうが、この曲の魅力も伝わるように思います。何となくですが、「流星の男」というイメージがねこあるきさんの訳と、おまけでつけてくださった、Google のアニメーションから浮かびました(この Doodle は傑作ですね! とてもかわいいのに、最後の天使になって降りてくるフレディの姿には、涙が出ました)。

      長文となりすみませんでした、クイーンの話が朝からできて嬉しかったです(^ω^)

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    3. suzukiさん。
      クイーンが根っから批評家やマスコミと仲が悪く、何かを新しく出せば叩かれ、それに反してファンは大絶賛するというのは、もはや様式美なんでしょうか(笑)
      ここ2018年においても、お目にかかれるとは思いもよりませんでしたが、厳しい批評も演出のひとつのように思えてきます。だって、映画のおかげで、新旧含めクイーンのファンを獲得したのは事実ですから。

      戦後の和訳、日本語の言い回しは本当に素晴らしかった。原題を超えるものがありました。いつから日本語の体を成さない、英語に媚びた直訳和訳になってしまったんだろう、と思いつつも、最近の曲であっても良い和訳を見かけたりするから、訳する人によるんでしょうね。

      「グーグルのいたずら書き」には、実は私も涙が出て来ました。
      フレディは、何度ひとを泣かせれば気が済むのかと思ったものでした。
      こちらこそ、楽しくお話しさせていただきました。ありがとうございます!

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